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  • 執筆者の写真sazanamicare

池袋暴走死傷事故から地域を考える

2019年4月19日に起きた11人を巻き込んだ死傷事故の初公判が始まっています。当時87歳であった高齢ドライバーによる事故。最愛の妻と三歳の子を一瞬にして亡くした松永氏の悲壮な会見を覚えている方も多いと思います。


また、加害者が元高級官僚であり、即時の逮捕とならず、病院退院後も拘留されることなく7カ月後に在宅起訴されている事。加害者が自分の責任を認めず車の異常によるものであると主張したことから世論感情も悪く、上級国民なる嫌な言葉も使われることになりました。


この事件に対する大きな憤りや社会の怒り、松永氏の絶望を忘れることはできません。これからも裁判の推移を見守る必要があります。


さて、感情はここにひとまず置いておきます。私たちが未来のためにできることは何でしょう。


介護の仕事、特にケアマネジメントの中で高齢者の移動を考えることはとても重要です。私たちの住む鋸南町は人口も少なく過疎地域であり、2020年時点で65歳以上が町民の半数を超えています。当然、自家用車が主要な移動手段となり、町民のほとんどが自家用車で会社に、畑に、買物に。それが田舎の暮らしです。


若者は仕事を求め町を離れ、年老いた両親は田舎に残ります。当然年をとり、高齢ドライバーとなっていきます。人によっては認知機能の低下が少しずつ見られ、場合によっては認知症を発症します。それでも高齢者の日々は続いていきます。


バスの本数も少なく、バス停への移動手段もありません。タクシーは町に一台。昨年二社のうち一社は撤退しました。資本主義経済の中では成り立ちません。介護タクシーはそもそもなり手の少ない訪問介護員が時間を縫って何とか行っている状況。介護タクシー単体で利益を上げることは到底難しく、増員も難しい状況と考えれられます。


年老いても農業を続け、野菜を育てることが生きがいとなり、元気でいられる。認知症にならず、自分らしく暮らし続けられる。分野は様々、そんなことがよくあります。それには自分がスケジュールを立て、資材を積み、道具を積み、土にまみれて丁寧に作業をする、そんな日々を継続する必要があります。高齢者が軽トラックにのり元気に走り回るのが田舎の日常の風景です。


高齢になったら免許を返上しなくてはならない。それは正しい意見だと思われます。ただ、それが可能な社会を作るために、地域ごとに適した方法を考えて行かなくてはなりません。タクシーやバスを使って、農作業。あり得ません。全く新しい個別に機能するシステムが必要になります。それがどんなものかは私にはまだわかりません。


高齢ドライバーの事故が目立つから、運転させない、年齢で切る。これはその人から本人の人生をむしり取ることにつながります。それだけでは済まない様々な問題があります。認知機能の評価と連動させる、これは必要なことかもしれません。


都市一極集中、田舎で若者が仕事をできない、子どもが生めない。高度経済成長、バブル崩壊、グローバリズム、薄利多売、コスト削減。これまで突き進んできた戦後の政策、私たちの価値観。システムが崩壊してきています。今後はぐるっと変える必要があるでしょう。


現代において山を平らにし、環境が傷んでも、それに気づくことすらできなくなっています。川はコンクリートで固められ、プールのようになり、土中に染み込み大地を涵養するはずだった雨水は堤防を越え町に流れ込みます。このまま大地をコンクリートで固め続けて次世代に残るものは何でしょう?


少し話が脱線してきましたが、国や政治家任せでなく、幅広く多様な人々で、問題点や新しい仕組みをオープンに議論する。すべての領域においてそれが必要な時代となってくるのではないでしょうか。


大事なのは尊厳。人々の人生を尊重すること。これを胸に日々励んでいきたいと思います。

遺族の絶望をしっかりと覚えておかなくてはなりません。この事故を風化させず、何か一つでも社会を良い方向に進められるよう。


#ケアセンターさざなみ#鋸南町#介護#デイサービス#訪問介護#ケアマネジメント










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